メキシコ皆既日食遠征記4日目

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4月8日いよいよ皆既日食当日です。
天気は快晴ですが、風が時おり強く吹くのがベッドから見ていてわかる。
まだ熱っぽくて起きられないし食べたくもないので、朝食はパス。
こんな一番大事な日に最悪の状態だ!
しかし皆さんが朝食から戻ってくると不思議とテンションが上がってくる。フリースのパジャマのまま外に出て準備を始めると調子が悪いことを忘れているかのように体が動く!

熱があろうがこんな素晴らしい天気の皆既日食当日に寝ていられるわけがない。

これは室内で準備中の皆さんの様子(Sさん提供動画)

そして外での準備の様子(Sさん提供動画)隣のロッジの方々も忙しく動いています。

私の機材たち。
左のカメラはキャノンEOS6Dに16㎜ワイドレンズで皆既日食の全経過を狙います。
右のMarkX赤道儀極軸体にアルミアングルを取り付けて載っているのがBORG71FLにキャノンEOS80Dで太陽が欠けていく様子とコロナを記録します。
そして中央に載っているのがBORG45EDⅡに松本式EMSと取り付けて12㎜アイピース27倍で眺めます。最悪写真は誰かが撮っているので、私は見ることを最優先としています。
そしてもう1台ソニーの高倍率ズームのコンパクトデジカメが動画撮影用に載っています。
あとは双眼鏡が1台あります。
これら5つの機材をうまく使いこなせるかどうかがこの遠征のすべてです。
先にも書きましたが、優先順位はBORG45EDⅡの眼視、双眼鏡での眼視を最優先でその次はBORG71FLのカメラを優先します。
実はこの時に45EDと71FLのどちらを眼視に使うか最後まで悩んでいました。

9時頃には準備を完了し、欠け始めるのを待つ。
こんなころから雲が流れてくるようになってきた。しかしこれまた美しい彩雲だ!

10時54分第一接触、しかし望遠鏡を覗いてもかけているのがわからない。その後すぐに右下からわずかに欠けてきているのがわかった。

どんどん月が太陽を侵食していき、大きい黒点も飲み込まれてしまいました。

95%くらいまでくると光は弱々しくなり薄暗く気温も下がってきました。そして同時に強く吹いていた風が止みました。
このころから太陽の右側に金星が白く輝いて見えていました。
同室のKさんが「第2接食まで5分」とコール、「あと1分」で4台すべて減光フィルターをはずします。
少し眩しいが望遠鏡を覗き、左手でシャッターボタンを押し続けます。
そしてついに迎えます!

これが夢にまで見た「ダイヤモンドリング」です!
望遠鏡から目が離せません~どんどんダイヤモンドが小さくなっていきます。それと同時にピンク色のプロミネンスが見えてきました! ああ~太陽がなくなる~!!

12時10分22秒 第2接食です!
太陽の周りというか月の周りに真珠色のコロナが輝き、ピンク色のプロミネンスがあちこちで見えている。これがナマで見るプロミネンスの色なんだ!Hα太陽望遠鏡で見ている真赤なプロミネンスとは全く違う!

これです!どうしても見たかったのはこれなんです!!
15年前の2009年にこれが見たくて上海まで行って玉砕し、その後2012年今度こそとオーストラリアへ行き再び夢破れ、3度目の正直で2017年アメリカへ行くもついに見ることができなかった「コロナ」!
なんと美しい!!諦めなくて良かった~と思える瞬間です。しっかり目に焼き付けないといけない。
空を見上げると暗くなった濃紺の空にコロナをまとう黒い太陽がぽっかりと浮かんでいる感じがします。そして左には木星も明るく光っている! 肉眼で見上げているのが一番美しく神々しいのかも。
双眼鏡で眺めてみると、視野の中に大きく広がるコロナがあり、流れが濃淡を伴って見えてこれまたスゴイ光景だ! 左手はカメラのシャッターを押しているようだがどうなっていることやら~チラッとカメラの設定窓を見るが暗くて数字が全く見えない。そうだった以前は暗くなった時に備えて懐中電灯を用意してたんだった。今回はすっかり忘れていた。「まあいい、誰かが写真は撮っていてくれるだろう、とにかく見続けよう」

月が左上に移動していくのに合わせて右と右下のプロミネンスが見えてきた。
特に右下の大きなプロミネンスが濃いピンク色で目立っている。空を見上げて肉眼で見ても黒い太陽の右下にピンク色に光っているのが見える!
私の左背後にいる同室のKさんが「第3接食まで10秒」とコールが聞こえる!
「ああ~どうしよう、終わっちゃう」肉眼で見上げて、双眼鏡で見て、左手でシャッターボタンを押しっ放しにして、望遠鏡を覗いた瞬間「太陽が戻ってきた!」12時14分46秒 第3接食です。

もしかするとこの一瞬が一番美しいのかも!
真珠色のコロナをまとった黒い太陽の周りにいくつもの濃いピンク色のプロミネンスが見え、同じくらいの濃いピンクの彩層が見えたかと思ったしゅんかんに1か所がチカっと光る。 この瞬間わずか1/10秒くらいだろうか。凄いものを見た気がする! 諸先輩方がとにかく見ることに専念しなさいと言われることがよくわかりました。
このころにはかなり気温が下がって上着がいるほど寒くなりました。
そしてどんどんダイヤモンドリングのダイヤモンドが大きくなってきます!

第3接食から数秒で眩しくて覗いていられなくなり、フィルター装着。順に他の3台もフィルター装着。
こんなに眩しく見えたのに実際にはほんのわずかに太陽が顔を出しただけです。

戻り始めると早い早い!

間もなく第4接食 13時35分13秒直前の太陽です。

この日食全行程を1枚にするとこうなります。

そして皆既中だけをもっと明るくしたものを追加すると、その時の雲の様子や金星・木星も見えてきます。

実は皆既中には水星・土星・火星も見えるかと思いましたが、残念ながら双眼鏡でも見つけることができませんでした。

こちらがこの時の気温の変化です。太陽が欠け始めるとともに下がり始め、皆既後も少し下がり、その後上昇しているのがわかります。このグラフの通り5度近くも気温が下がったのも肌で感じていました。

同行のWさんのご提供

そしてこれは日食中のタイムラプス動画です。雲の通過で少し暗くなる時もありますが、皆既中は夜のように暗くなり電灯が点灯しているのがわかります。

Sさんご提供の動画

第1接食から第4接食まで無事に見ることができホッとしました。昼食はいつでも食べられるようにロッジの方がサンドウィッチを用意してくれていたので、ゆっくりいただきます。とはいっても全く食欲がないのでサンドウィッチ1切れとマンゴ―だけをいただき、薬を飲んで寝ることにします。
日食中はすっかり忘れていましたが、終わった途端に悪寒がして一気に病人に戻った感じです。

夕食は昨日と同じエル・サルトの街のレストランで日食観測成功の打ち上げのようです。
私はとてもそんな元気はなく、ロッジで一人毛布にくるまって寝ていました。そして寝ながら眼視の口径45㎜は小さすぎた~10㎝は必要だったなぁ~中国・上海は9㎝マクカセだったし、オーストラリア・ケアンズは15㎝ニュートンを持って行ったよな~使えなかったけど~と考えていました。
ミューロンくらいで見たかったなぁ~まいったなぁ~。


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