5月14日は20時半ころにISS国際宇宙ステーションが名古屋で天頂付近を通過する予報が出ていました。その5分後には4月29日に打ち上げられた中国の宇宙ステーションのコアモジュール「天和」も天頂付近を通過するとのことでワクワクして待機していました。
天和は5月9日3時過ぎに初めて撮影しました。この時は想像以上に明るく見えて驚きました。その光跡がこちらです。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/C1842A33-627B-430D-B93C-6DAB47EDB3F6-1024x683.jpeg)
強拡大で撮影したものがこちらです。長細い円柱状のモジュールに太陽電池パネルが2枚見えています。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/3AF6E1A6-6A88-4361-AC2C-F9641E55CADC.jpeg)
この中国の宇宙ステーション「天宮」は2022年運用予定でこれから宇宙空間で建設が始まるようです。完成するとこのような形になり、赤い部分が今回のコアモジュール「天和」だそうです。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/0411AF4A-7059-422D-9DD8-B0522D84F9E6.png)
さて、20:30までにはたっぷり時間があるので、まずは金星から見てみます。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Venus_164236_lapl5_ap1-e1621062439848.jpg)
まだ太陽に近く危険ですが、ほぼまん丸で白く輝いています。
5月17日が東方最大離角になる水星です。日没前はある程度高度がありますが、日没後は最大離角少し前でもやはり低空で虹色がきれいです(笑)
水星の左上には細い月も見えています。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/IMG_0133-1024x715.jpg)
そうこうしていると20時になり最後のピント合わせとISSと天和が見え始める位置の確認をします。
しかし空の状態は全体に薄雲がかかった感じで非常に悪く、1等星のスピカとアークトゥールスしか見えていないほどです。でもISSは明るいから大丈夫でしょう。
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予定通りISSが見えてきます。追いかけながら、かなり高い位置に来るまで待ちます。真上近くから連写します。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/ISS.2021.5.14.-1024x767.jpg)
ISSを見送ると数分おいて西南西の空に天和が上がってきます。「ん?」9日の明け方は明るくてすぐにわかりましたが、今回は全く見えてこない。やはり薄雲がかかって星が見えていないほどなので天和も見えなさそうです。見つけ出さなくては!! スマホのSpaceStationARで現在の位置を確認しながら望遠鏡のファインダー(上の写真の真ん中についている小さい望遠鏡)を覗き、いるであろう位置を捜索すると「動く光点発見!」いました。想像よりはるかに暗いので咄嗟にカメラのISOを1段上げ、露出を2段下げながらある程度の高さまでシャッターを切らずに追跡します。45度を超えたあたりから連写開始! しかし65度くらいから望遠鏡のファインダーに背が届かなくなるので、等倍のテルラドファインダー(ファインダーの右側についている)に目を移しました。 しかしその途端に天和が肉眼では全く見えなく、見失ってしまいました。天頂付近まで追いかけることができずにちょっと残念ですが仕方ありません。少し高度が低い位置での天和ですが、太陽電池パネルの角度が悪いのか全く見えておらず、棒状のもの程度でした。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/天和.2021.5.14.jpg)
見掛け上どのくらいの大きさかと思い、ISSと比較してみました。それぞれの距離によって大きさも違って見えるんですが、大体の見掛けの大きさはこんな感じでした。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/ISSと天和.jpg)
もう一台のカメラでISSと天和の光跡を撮るためにセットしておいたのがこちらです。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/sISS天和-1024x672.jpg)
中央下に北斗七星が見えます。明るいISSが中央上から右下に通過していますが、天和が全く写っていませんでした。そのくらい暗かったわけです。
GPV天気予報では20時頃には曇ってしまう予報でしたが、何とか見ることができました。もしかしたら明け方の土星と木星まで持たないかなぁ~と思いつつ惑星用の望遠鏡はそのままにして待つことにします。
2時に外に出てみると、夏の大三角が見えています。相変わらず1等星だけしか見えません。
よく見ると土星が見えていますので、望遠鏡を向けてみます。「おやおや、すごく気流が良いかも!」しかし土星が暗くなったり明るくなったりで、薄雲が絶えず流れているのがわかります。そんな中で撮った土星がこちら、まずはカラーで。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Saturn_030708_lapl5_ap53.jpg)
モノクロカメラはこちら。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Saturn_024426_lapl5_ap44.jpg)
3時ころになるとどんどん厚い雲が南東方向から湧いてくるようになりました。
隣の陰から木星が出てくるのが早いか、雲が覆ってしまうのが早いか微妙なタイミングになりそうです。15日朝の木星は大赤斑が出てきて、衛星ガニメデが木星面を通過中で、衛星イオが木星のすぐ近くにあり、その影が木星面に落ちているというなんとも賑やかな光景が見られるはずです。
しかし残念ながら木星が出てくる前に東の空を雲が覆ってしまいました。
しばらく待つと多少雲の隙間があるようになりたまに瞬間的に木星が顔を出します。1分しっかり出てくれればと、雲の向こうの木星を望遠鏡は追尾していきます。しかしすでに明るくなりしっかり見えることはありませんでしたが瞬間的に見えた時の木星がこちらです。スタックする枚数が全く足りませんがなんとなく様子はわかります。
木星の左側から大赤斑が出てきて、左から衛星イオが近づきます。木星面中央にはその衛星イオの影が丸い黒い点になっています。 その右にある黒いものが衛星ガニメデなのか?こんなに黒く見えるのか? 3枚目のように衛星イオが木星面に乗ったすぐは衛星の方が明るく見えるのですが、すぐにわからないくらいになってしまうはずなんですが~。 メタンバンドで撮れば衛星は白く光って写るので準備はしていましたが、残念ながら今回は使うことなく雲の向こうで朝になってしまいました。
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Jupiter_034753_lapl5_ap44.jpg)
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Jupiter_035459_lapl5_ap38.jpg)
![](https://taizo.space/wp-content/uploads/2021/05/Jupiter_040300_lapl5_ap186.jpg)
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