まず初めに、太陽は非常に危険です!決して見つめたり望遠鏡や双眼鏡で見てはいけません!
3月19日にISSの月面通過がありましたが、今回は太陽面通過です。
名古屋市北部で11時58分51秒の予報です。
太陽が一番高い時間ですのでISSまでの距離も470kmと近く大きく見えるはずです。
夜中まで大雨が降っていましたが、明け方にはやみ青空が広がってきました。ただ風が強いのが難です。県営名古屋空港のすぐ横の公園の駐車場なので、自衛隊の飛行機やヘリコプター、旅客機が良く飛んでいます。ここにいれば月や太陽にISS以外にも人工物が重なる可能性は十分にありそう!
機材はタカハシEM-100赤道儀にタカハシ ミューロン180とBORG71FLの2台乗せです。
今日はISSの太陽面通過を撮りたいという方がCanon EOS6Dを持っていらっしゃるのでこの組み合わせにしました。ミューロン180ならフルサイズで2160㎜直焦点で太陽全体がぴったり収まるはずですが、極軸が合わせられないので念のためクローズアップNo.3をレデューサー代わりに入れやや余裕を持たせました。この望遠鏡の減光フィルターは笠井トレーディングさんのSF-100ソーラーフィルターを外れないよう確実に装着してあります。太陽が青白く見えます。
BORG71FLは予備で私のCanon EOS80DでこちらはBORG1.4倍エクステンダーと2倍バローを少し光路長を短縮していれて太陽全体がぴったりサイズになりました。
こちらの減光フィルターはサウザンド・オークス・オプティクス 金属メッキガラスフィルターを使っていますが、すでに生産を終了していますが、太陽面はオレンジ色に見えます。
もう1台手前の機材はSkyWatcher AZ-GTi経緯台にLUNT60ダブルスタック(太陽専用望遠鏡)とカメラはZWO ASI 183MCの組み合わせです。LUNTの太陽望遠鏡は太陽は真赤で周囲にはプロミネンスが見え、太陽表面にはうねうねと太陽が活動している様子が見えます。
ではまずはミューロン180とEOS6Dの組み合わせで撮った動画から、時報やらしゃべり声やら!
11時58分51秒に通過します。
この動画は1秒間に30フレーム撮っていますので、通過にかかる時間が0.6秒との予報だったので18枚くらいは写っているはずです。その写っていたコマを全部重ねるとこんな感じになりました。
だいたい予定通りで17枚写っていました。
右上に小さな黒点がポツンと写っています。
続いて予備のBORG71FLで撮ったものですが、こんなオレンジ色の太陽になります。
これも1秒当たり30フレームなので同じく17枚写っていたものを重ねてあります。なのでISSとISSの隙間が1/30秒の移動距離です。
さて最後はLUNT60ダブルスタック太陽望遠鏡の写真です。この望遠鏡にはZWO ASI 183というPCでコントロールするWebカメラのような動画撮影カメラが付いています。私が惑星や月の撮影に使っているのもこれらのカメラです。ただ最新のカメラを使っても人間の目で見るような階調の広い、プロミネンスも太陽の表面も両方が見事に見えることはなく、どちらかを犠牲にしなくてはいけなくなってしまいます。そこでまずは太陽の表面に比べて暗いプロミネンスだけを強調して撮ります。
そして、太陽表面がしっかり見えるくらい暗くしてISSの通過を待ちます。通過した時の写真を写っている写真を重ねるとこんな感じです。(コマ落ちしてISSがとびとびになってしまいました)
この上の2枚を合成するとプロミネンスと太陽面を通過するISSのシルエットがしっかり見えます。人間の目が見ている様子を表現しようとするとこのように合成しないといけないわけです。実際に望遠鏡を覗くともっと真っ赤でもっと美しく見える人間の目はホントにすごいと思います。
久しぶりのISS太陽面通過だったのですが、これだけ撮れれば今回は十分満足です。
ただ、人間の目よりこのカメラが優れているのは人間の目ではわずかに非常に薄い煙のように見えていたプロミネンスもこのようにとらえることができます。これは3月31日の巨大なプロミネンスの消える直前です。
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