2012年の締めくくりは皆既日食(ケアンズ) 過去日記

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初めて行く南半球

2009年上海皆既日食で玉砕した時に次の目標にして貯金をしていた2012年ケアンズ皆既日食です。
皆既日食は場所が限られるため、この時はまだ飛行機やホテルは個人ではなかなか手配が難しいと思っていました。なのでツアーを見比べながら単独参加を決めました。
参加ツアーは星雲星団ガイドブックでおなじみの浅田英夫さんと行く朝日旅行のツアーにしました。
このツアーは11月11日発の4泊6日で、特徴は日食観望地がケアンズから1時間ほど内陸部に入った標高400mの牧場アマル―・アポリジニの丘。近くに町はなく晴天率も高く付近ではアメリカNASAの観測チームも選んだこの場所でなんと3泊はテント泊。ということは皆既日食に初めて見る南天の星座たちが3晩もおまけについてくる!しかも日食なので新月! 一粒で2度おいしい欲張りツアー。さらにおまけで帰りに香港で1泊ついているのも魅力的。 というわけで他よりちょっと高いかなと思ったけどこれに決定!

さて、機材をどうしよう? 日食だけなら機材はあるが南天の星空観望のための少しでも口径が欲しいところ。20㎝の軽量ドブソニアンを作るか?とも思っていましたが、オーストラリアは木の製品が持ち込み禁止なので空港で没収されたらたまったものではない。 そこで目にとまったのが笠井トレーディングのJINGARO-6(http://www.kasai-trading.jp/zingaro6.htm)!弁当箱にすべて入ってしまうような素晴らしいコンセプトの望遠鏡ですべて金属製、これにズームアイピース1本で何とかなりそう。
皆既中のコロナやプロミネンスもこれで見ればいい!と早速購入しました。
SPACE-BOY赤道儀の三脚が木製のためこれもアルミ製に変更しました。
望遠鏡はJINGARO-6とFC-50の2台、一眼レフ2台とレンズ3本、ビデオカメラ2台、SPACE-BOY赤道儀一式とカメラ三脚2本と着替えなどで7㎏も重量オーバー! 追加料金を請求されたら払えばいいかと思っていました。
空港で預けた時に「HEAVY!」のタグが付けられました。 浅田さんの荷物はもっと重かったらしい!

JINGARO-6

いよいよケアンズへ

されそんなこんなで出発です。
中部国際空港で集合すると結構年配のリピーターさんが多いようです。 早速私も同じような匂いのする人たちを探して挨拶をした4人の方々が行動を共にし、今でもお付き合いさせていただいております。彼らとその後オーストラリアへ2回行くことになりましたが、それはまた後日に。
飛行機はキャセイパシフィックで香港経由でケアンズへ。窓からは3日後に太陽に重なる月が見えていました。


ケアンズに到着すると市内観光とキュランダ森林鉄道乗車観光があり「世界の車窓から」で見たことあるあの景色が見えてきました。 また公園の中には人間が吊るされているような看板があり、そこはバンジージャンプができるところで飛び降りてくるのをはじめてみました!あれを飛べる勇気は私にはありません。 動物園でコアラやカンガルーを見て、その後は3日間の山籠もりに備えてスーパーで買い物し、観望地のアマルーで向かいます。 アマルーへ向かう時は結構雨が降っていました、大丈夫か?

我々が3泊するテントです。小さい日本のキャンプテントを想像していましたが、なんと立派なベッドまであります。大きなトレーラーがいてそこでシャワーもトイレもあり、快適なキャンプができそうです。隣のテントはドイツからきた若者でした。
このテントにチョークで番号が書かれていたのですが、雨で流れてしまい夜トイレに行って戻ってくると自分のテントがわからなくなってしまいます。私は目印を置いておきましたが、「テントがわからなくなってしまって~」と困っている人を見かけました。
食事は3食とも大きなキッチンテントでテント泊の人たち全員一緒で、夜はアボリジニの歓迎ダンスや生バンドの演奏もありお酒もあり実に楽しい夜です。 我々5人組の1人Wさんが誕生日でしかも還暦とのことでここに集まった全員がお祝いしていました。 しかしなかなか晴れません。
たまに晴れると今までには見たこともない南の星空、やっと見えた子供のころからの憧れ南十字がとケンタウルスαβに大感激し、大小マゼラン雲、さかさまになったオリオンなど南半球を実感しました。

NASA観測チームのテントは我々とは違って空調完備のテント内に機材を設置していました。
この山奥にいると昼間は特にすることもなくキッチンテントで飲み物を買ってアイパッドで映画を見るか漫画を読むか、あたりを散歩するか、あとは昼寝くらいで日食当日を待ちます。 

日食当日まで昼間は晴れても夜は殆ど晴れ間はなく、夜明け前に少し晴れ南十字は見えましたが星空は残念ながらそこまででJINGARO-6の出番はありませんでした。
また日食当日、アマルー・アボリジニの丘に1000人くらいが夜明け前に到着するようで、たくさんの椅子が並び、あたりは安全確保のため多くのあかりが灯されていました。途中道路も狭く大丈夫なのかな?
さて、日食当日の夜明けです! あれ?昨日までなかったおみやげ物屋までできている!

11月14日

観測地点アマルーは 南緯16度49分 東経145度35分
・第一接触(部分食の開始):05:45ごろ
・第二接触(皆既食の開始):06:38ごろ
・第三接触(皆既食の終了):06:40ごろ
・第四接触(部分食の終了):07:40ごろ
・皆既の継続時間約2分
あの山から雲が湧いているあたりに太陽があってすでにかけているはずですが、この山の上だけまったく雲がどきません。
第2接食3分前くらいに明るくなり、アボリジニの丘の左の方から歓声が近付いてくるのがわかった!と同時に私のところでも皆既直前の太陽が顔を出し、大急ぎで望遠鏡を太陽に向ける。しかし、もはやフィルターを付けたままでは導入ができずカメラが壊れるのを覚悟でフィルターなしで太陽を導入しました。咄嗟にISOを下げ、シャッタースピードを速くしてシャッターを切りました。それがこの1枚。

ダイヤモンドリング直前でもう黒い太陽が見えていました。(この写真が星ナビに初めて掲載されました)
この後、太陽は雲に隠れてしまいダイヤモンドリングは見えませんでしたが再び黒い太陽が現れました。この時も左の方から歓声が近付いてきました。 眩しさは全くなく、カメラのISOを上げ、シャッタースピードを落とし、ひたすらシャッターを切りました。 双眼鏡をのぞくのがやっとで赤いプロミネンスがわずかに見えました。

ビデオを見るとこの間30秒くらいありますが、一瞬のように思えてすぐに雲に隠れてしまいました。
上海の時のように真っ暗にはならず、太陽が沈んだ後のような暗さで金星が輝いていました。ほかに星は見えないかとあたりを見回しているとふっと空が明るくなり第3接食のダイヤモンドリングになったことがわかりましたが、このダイヤモンドリングも見えませんでした。
その20分後くらいから太陽は山の上の雲を抜けて復円するまで雲にかかりながらも見えていました。

日食が終わるとすっかり天気は良くなり、ワライカワセミが笑っていました!こいつだ!

当日は気ままに星空観望仲間の「かつさんすずさん」が作ってくれた、このステッカーを現地で皆さんに配りました、もちろんNASAの方にも。

香港

何とか黒い太陽と南の星空は見えた! ありがとうアマルーという気持ちでケアンズを後にして香港へ向かいました。 アマルーではずっとキャンプ飯のようなものばかり食べていたので、香港のラーメンが身に染みる美味しさ! ガチャガチャして活気が漲るような面白さ、ここもまた来よう!

やっぱり第2接食・第3接食のダイヤモンドリングを見ないと勝ったとはいえないですよね~。
5年後の2017年の北アメリカを目標にまた貯金をしよう! その前に南天の星空をもう一度見に行きたい! 

コメント

  1. MW より:

    11月14日は私の還暦の誕生日でした。
    皆さんにお祝いして戴いたことが良い思い出です。
    このとき初めてTaizoさんとお会いしたのですね。

    • Taizo より:

      そうでしたね〜、みなさんのおかげで1人参加でしたが楽しかったです。
      もうお会いして8年になるのかー、と記憶をたどるのにもブログはよいですよ。

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