過去に出会った彗星

彗星
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5月に梅雨入りしてしまって、しかも台風2号が接近してくるという状況でネタがないので私が見た彗星の話を。
私が初めて見た彗星は高校生の頃の明け方のウエスト彗星でした。それまでは池谷・関彗星やベネット彗星の尾を引く立派な姿の写真しか見たことがありませんでした。すごく大きなものを想像していました私には何とも小さなものという印象でした。当時は1986年のハレー彗星の回帰も非常に楽しみにしていましたが、大学生になり楽しいことがたくさんあっていつしか忘れてしまっていました。
その後、百武彗星も肉眼で見上げた程度だったし、ヘールボップ彗星もアマゴを釣りに行った山で夜明け前に尾から上ってくる姿を見て「へ~大きいな」と思った程度でした。今思えばせめて双眼鏡で見ておくべきだったなぁ~と残念で後悔しきりです。

ホームズ彗星(17P)

そして星を復活して望遠鏡も揃い、写真も撮り始めた頃におもしろいものが現れました。
それがホームズ彗星(17P)でした。2等級ほどの明るさの星が突然現れ、日に日に大きく拡散していく様子は彗星が何かに衝突し塵が広がっていくとしか思えない光景でした。
これが2007年10月25日にアウトバーストを起こして急速に明るくなった10月27日のホームズ彗星です。

2007.10.27

4日後の2007年10月31日名古屋市内の自宅から

2007.10.31.

2007年11月18日に楽しみにしてホームの元気村へ行き見てびっくり!「なんじゃこりゃあ~」

2007.11.18.

そして2週間後の2007年12月2日の様子です。この後はどんどん拡散して薄くなっていきました。

2007.12.2.

見るたびに大きく広がっていく様子はほんとうにおもしろく、我々「気ままに星空観望仲間」では「宇宙クラゲ」と呼んで楽しんでいました。

ルーリン(鹿林)彗星(C/2007 N3)

2009年2月に明るくなってきたのはルーリン彗星(C/2007 N3)でした。

2009.2.21.

この彗星はあまり記憶にないのですが、尾の反対側にアンチテールが出ているのがわかります。

パンスターズ彗星(C/2011 L4)

2013年3月10日に近日点を通過したパンスターズ彗星が夕方の空に現れました。
夕方に西の低空が見える場所を探した結果、名古屋港近くの藤前干潟の野鳥公園がぴったりでした。

近日点を通過したばかりの3月11日小さいが非常に明るく、星が見え始める前に核が白く光りすぐに見つかりました。
小さくてメダカのようなイメージだった記憶が残っています。

2013.4.5.

これは4月5日にM31アンドロメダ銀河に接近した時の様子です。扇形に尾が広がっていた記憶です。

アイソン彗星(C/2012 S1)

かなり遠い位置で発見されたため「世紀の大彗星」ともてはやされて世界中の期待を集めたアイソン彗星です。私も非常に期待してあちこちロケハンをしていました。未だに茶臼山の東の空が見渡せる絶好の場所は「アイソンポイント」と呼んでいます。そのアイソンポイントで11月16日に捉えたアイソン彗星です。近日点通過は2013年11月29日。

2013.11.16.

このころはFS-102を2本使った双眼望遠鏡を使っており、これを見るための望遠鏡だと思えるほど美しく見えていました。
この時は私以外は写真を撮っておられる方々で誰も車から降りてこないのが不思議なくらいのすばらしさでした。
その1週間後11月23日、かなり太陽に近くなった夜明け前の姿を岐阜県で眺めていました。

2013.11.23.

近日点通過1週間前でかなり大きく明るくなってきています。

近日点通過はNETでSOHOのコロナグラフの動画を見ていました。直前に核が崩壊しつつあるような情報がありましたが太陽に近づいていくアイソン彗星がSOHOの視野内に現れ、太陽ギリギリをかすめるように回っていきます。「頑張って戻って来いよ~」と思いつつ眺めていると砕け散って煙のようなものが軌道上を回っていくのが見えました。「ダメだったか~」と力が抜けました。
結局上の写真が最後の姿でした。
教訓:彗星は大騒ぎせずに静かに見守りましょう!

ラブジョイ彗星(C/2013 R1)

アイソン彗星の大騒ぎですっかり影に隠れてしまって少しかわいそうなラブジョイ彗星です。

2013.12.7.

この彗星も茶臼山で見ていました。頂上手前のパーキングで肉眼で見えるほどの明るさでした。
こんな素晴らしい彗星を見落とすところでした。

ネオワイズ彗星(C/2020 F3)

2020年7月ノーマークだったネオワイズ彗星が夜明け前の空で明るい!との情報で急にあたふた。GPV天気予報とにらめっこしながら三重県の海岸へ行ってみるも雲が多く見えず。その後もなかなか晴れずにヤキモキしながらも毎日少しの機材を車に積んで出勤し、いつでもスクランブル発進できる態勢。
夕方の空に回ってきた2020年7月16日わずかに晴れ間が出そう。少しでも北へ行った方が晴れ間が多そう、しかし空の暗いところまで走る時間がなさそう。
迷った結果、名古屋高速を走ってなんとか木曽川の河川敷までなら行けそうと判断し、緊急発進。
まだ明るいが到着してすぐに双眼鏡で探すと雲の隙間に見えました。

双眼鏡にiPhoneを押し当てて手持ちコリメート! すぐに気ままに星空観望仲間のライングループにアップすると「名古屋市内でも見えている!」とのこと。
大急ぎでポラリエを用意して雲に隠れる前に記録する。

2020.7.16.

帰宅後この写真を中日新聞に送ったところ、翌日電話取材を受け夕刊に掲載されました。
しかしやはり暗い空でしっかり尾が伸びた姿が見たい! 星仲間から「北海道いかない?」って声をかけていただいたこともありましたが急には動けなかったなぁ。そんなときに北海道を放浪中のIさんから素晴らしい写真が送られてきました。行くべき時に行かなければいけなかった~と後悔した彗星でした。

レナード彗星(C/2021 A1)

2021年最初に発見された彗星です。その彗星が年末に明るくなってきました。
2021年12月5日の明け方ホームの旭高原元気村で捉えた写真です。

2021.12.5.

レナード彗星は夕方の空に回ってきても明るく元気でした。
これは久しぶりに藤前干潟で。

2021.12.22.

やはり暗い空で見てみないといけないので、年末の観望納めを兼ねて三重県の伊勢志摩へ行きました。
この時は肉眼で見えていたような記憶です。

2021.12.30.

ZTF彗星(C/2022 E3 )

今年早々に明るくなって楽しませてくれたZTF彗星。ホームの旭高原元気村にて。

2023.1.22

ヒアデス星団にも接近しました。オレンジ色の星がアルデバラン。

2023.2.14.

天文に復帰して20年程ですがその間にこれらのほかにも暗くて目立たないものも含めてたくさんの彗星に出会ってきました。そしてどれもが楽しませてくれました。

来年2024年10月にはC/2023 A3が近付き、かなり明るく大きくなる予報がありますが騒がず静かに見守りましょう。

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